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アスリートの競技力向上や傷害予防に有用な研究
広島大学病院スポーツ医科学センターでは、県内・県外または国外の研究者・研究機関と協力して、アスリートの競技力向上や傷害予防に有用な方法を生み出すための研究を実施しています。研究内容は、それぞれの競技の身体特性を検出し、新たなトレーニング・コンディショニング方法を検討するための研究を実施しています。また、身体活動の基盤となる生理学的反応や神経機能など基礎的な研究にも取り組んでいます。
足部・足関節とスポーツ傷害
足関節傷害は学校管理下のスポーツ傷害において高等学校、高等専門学校では最多、小学校、中学校でも手・手指部に次いで2番目に多く発生しています(日本スポーツ振興センター、学校の管理下の災害 平成30年度版)。特に足関節捻挫(多くは足関節外側靭帯損傷)は最も多く発生するスポーツ傷害といわれています。また成長期の中高生ではスポーツ活動による足部負荷の増大によって思春期扁平足が生じ、足部の疼痛が問題となることもあります。
当医科学センターでは、これら足部・足関節に注目したスポーツ傷害予防のための研究を行っており、これまでにジュニアアスリートにおいて後足部アライメント(扁平足の有無)が片脚立位時の動的な姿勢保持バランスに関連していることを見出しました。スポーツ活動において姿勢保持機能は重要であり、姿勢バランスの不安定性はスポーツ傷害のリスク因子といわれています。三次元動作解析装置などを使用した詳細な解析によって足部・足関節のみならずスポーツ傷害全般における新たな傷害予防への展開を目標に研究を進めています。
また高齢者を対象として運動器症候群(ロコモティブシンドローム: ロコモ)*と足部形態や足部機能に注目した研究を行っており、高齢者の健康増進、転倒予防、高齢化社会における健康寿命の延伸への寄与を目指しています。
*運動器症候群(ロコモティブシンドローム: ロコモ) 運動器の障害によって起立、歩行などの移動機能が低下している状態のことです。運動器障害の原因として運動器疾患、加齢に伴う運動器の機能不全などがあります。
体温研究
健常者に対する体温調節機構はスポーツ科学の分野で盛んに研究されています。私たちは、障がい者スポーツ選手を対象に体温調節反応の研究を行っています。脊髄損傷者に関する研究は国内外で行われていますが、その他の障害についてはわからないことが多いです。切断者は熱放散に必要な皮膚を一部失うため、体温が上昇しやすく、熱中症になりやすいと言われていますが、憶測にしかすぎません。私たちは、下肢切断者の体温調節反応について注目し、新しい知見を得ています。これらの研究成果をもとに、障害の特徴に合った熱中症予防策を提案できるように関わっていきます。障がい者スポーツ選手の熱中症についてお困りのことがありましたら、気軽にご相談ください。